受験勉強の友だった『田園』は、私にとって大切な曲です。
ベートーヴェンにとってこの曲で表されているのは、
自然は神であり、散歩は祈り だということ。
全5楽章に
『田園に着いた時の晴々とした気分の目覚め』
『小川のほとり』
『農民の楽しい集い』
『雷雨、嵐』
『羊飼いの歌、嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気持ち』
と自らが音楽の進む通りに標題をつけています。
ですが、決して単に自然を描写したのでは無く、同時に人間の有り様、例えば
小川のほとりでは、せせらぎを前にした人々の気持ちや様子、いわゆる人間らしい営みを、
失われつつある聴覚の中で彼自身が包み込む様に音楽を作っていたのだと思わせてくれます。
天から差し伸べられる光の優しさを醸し出してくれる作曲家。
ピアノソナタ最後の作品である32番、最終楽章では弾きながらいつもこの光に涙が誘われます。
苦しみの内にも価値ある作品を世に出した作曲家は数多いますが、
私は、思春期を支えてくれた『田園』のおかげなのか
色々な作曲家に触れても最終的にはベートーヴェンに帰ります。
叶うならお会いしたいです✨