恩師の数多い世代は、古き良き時代に活躍した素晴らしい芸術家の印象が色濃く残り、
後進を手放しで認める事が余り無かった様な記憶があります。
例えば、
名テノール、マリオ・デル・モナコの”黄金のトランペット”と評された歌声を知っている人は
どうしても後に続く人を比べてしまい、
良い人の演奏について、認めたくても今ひとつの思いを抱える評価を聞く事が多かったです。
そんな素晴らしさで語り継がれる芸術家の1人に、指揮者のフルトヴェングラーがいます。
彼の情感豊かで比類なき説得力での聴衆を感動させる力は絶大だったそうです。
私は、残念ながら録音でしか触れられない世代ですが、それでも大きな感動を覚えました。
その彼が常々、
「偉大なものは全て単純である」と言っていたことを知りました。
わかる様な気がします。
しかし、文字通り簡単なことではありません。
その単純さとは、多くの学び、経験、努力、思考、時には悩み、迷い、苦しむ事…
などの結果として出てくるものだからです。
もしかしたら、この境地のパフォーマンスを会得した芸術家が
後世に語り継がれる演奏を残せるのかも知れない、とも思えたりします。
憧れます。
目標は大きく、そんな境地を目指して……