”強弱”が文字通りの強い・弱いだけでは無いことを理解出来るようになったのは、
大人になってからです。
音量としての強さを出すのは簡単です。
(しかし、それをうるさく無く楽音とするにはテクニックと耳が必要です。)
それに比べて弱い音は難しいです。
経験から、強い音より弱い音を巧く弾きこなす方が、
テクニックだけで無く気持ちの強さがとても必要だと思っています。
心を込める と表現すれば良いのでしょうか。
ぐっ!と気持ちを強く持たないと良い弱音は出せません。
グランドピアノ特有のアフタータッチで勝負です。
時に、弱い音が強いインパクトを醸し出します。
音量は弱いけれど訴える効果は強いということです。
譜面にf(フォルテ)と記されている所をp(ピアノ)で演奏されることはよくあることです。
と同時に出版社や校正者、研究者によって強弱の考え方が真逆なこともよくあることです。
要は、自分を出すことなのです。
決められたルールを守りつつ、それを自分のものとして昇華させる醍醐味。
先人のフォルテをピアノと解釈しても、
それが真摯な営みのなせる技だったら大作曲家達も喜んでくれる と信じて。