若い頃伺った、映画監督の大林宣彦さんの子供の頃のお話を思い出しました。
……
国語の授業で、《いろはにほへと》全47音を暗記する宿題で、僕は逆から覚えてしまった。
先生がそれではダメだと。
僕は、何でダメなのかを聞いたら、ダメなものはダメと。
納得出来ないので食い下がったら、子供に言ってもわからないと。
結局は、僕はわけが分からないまま覚え直した。
大人になった同窓会で先生にお会いしたら先生が、
「あの時は悪かった。
実は私も若くて《いろはにほへと》の本来の成り立ちや意味を良く知らなかった。
知らないが故に君達にわかる様に話せなかった。子供には分からないと逃げた。恥ずかしい。
子供に分からないことはないのです。大人がちゃんと分かっていないことが問題なんです。」
……
大林監督は、この先生の立派さを説いて締めくくっていました。
この話しは私の座右の銘の1つです。
諸行無常・是生滅法・生滅滅已・寂滅為楽
はるか平安時代に47音で悟りを語り、手習いにも使われた仮名の並びに関心が尽きません。
音楽表現やテクニックなどレッスンで子供さんに分からないことは無いと思っています。
私を映す鑑であり、時にはハッ!とさせられる刺激をくれる宝物です。